越前海岸・概要: 越前海岸は概ね日本海沿岸の福井県敦賀市杉津から坂井市三国町安島に至る海岸の総称で多くが越前加賀海岸国定公園に指定されています。古くからの景勝地であると同時に日本海の海の幸が豊富な事で知られ、特にこの沿岸周辺で採れたズワイガニを「越前蟹」と称して全国的な知名度があります。中でも東尋坊(福井県坂井市)は名所として知られ日本海の海食によって高さ約25mの岸壁が形成され見る人を圧倒させます。東尋坊の名称の由来は諸説ありますが、一番有名なのが現在の福井県勝山市平泉町に境内を構える平泉寺(現在の平泉寺白山神社)の僧侶の1人に東尋坊と名乗る人物がいて、仏に仕える身であるにも関わらず、頭脳名跡で巨躯、さらに性格が悪く、欲深かった事から度々里に降りては悪行の限りを尽くしました。平泉寺も住民達に訴えられたものの、頭脳と体力で東尋坊に勝る僧侶が他におらず抑える事が出来ませんでした。ある時、東尋坊が美しい姫に恋心を持った為、平泉寺の他の僧侶達は姫と図り東尋坊を断崖の海岸縁(後の東尋坊)まで誘い出し、姫に勺をさせ大酒を飲ませ東尋坊を酔い眠らせた後に断崖から投げ捨てました。その瞬間、東尋坊は目を覚まし暴れだしましたが、他の僧侶達も自分を犠牲に一緒に断崖に落ち皆息絶えました。以来、その断崖絶壁を東尋坊と呼ぶようになったと伝えられています。越前松島(福井県坂井市)も東尋坊と同様に柱状節理の岩礁で形成されている海岸で、小さな島が点在している事から日本三景で知られる宮城県松島町にある「松島」に似ている事から「越前松島」と呼ばれるようになっています。雄島(福井県坂井市)は越前海岸の中で最大の大きさを誇る島で、周囲は東尋坊や越前松島と同様に柱状節理や板状節理が見られる景勝地になっています。日本海から見ると海運業者や、漁業関係者の航海上の目印になった事から信仰の対象となり雄島の中に大湊神社が勧請されています。大湊神社は延長5年(927)に編纂された延喜式神名帳に記載されている式内社で、歴史が長く格式の高い神社で、あの源義経が京都から奥州平泉に向う途中に雄島に立ち寄り大湊神社で参拝したと伝えられています。
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