湯殿跡庭園(一乗谷朝倉氏遺跡)概要: 湯殿跡庭園は朝倉館跡を見下ろす高台に位置し、16世紀初頭に当時の当主朝倉孝景によって造られたと推定されています。一乗谷朝倉氏遺跡で国指定特別名勝に指定されている湯殿跡庭園、朝倉義景館跡庭園、南陽寺跡庭園、諏訪館跡庭園の4つの中では最も古く作庭されています。
朝倉孝景は10代当主で越前国守護職、父親(朝倉貞景)の跡を継ぎ堅実に領内運営を行った事で領内の成熟期を向かえ、京都から様々な文化を取り入れた人物とされます。湯殿跡庭園は廻遊式林泉庭園で面積は1540u、南北に細長く、複雑に入り組んだ形の約100uの池(現在は枯れていますが、往時は山の中腹から導水路を経て水を引き込んでいたと推定されています。)を中心に周辺に凝灰角礫岩の巨石を配し護岸石組、滝石組、三尊石組などを組し、左右には略対象な滝副石があり水落石は1段、滝口の前には、水分石があります。
さらに東端には亀島、西端には鶴石、池尻付近には石橋が掛けられた跡(橋狭石と思われる石が現存)、排水路跡(現在は空堀の石垣により破損)などがあり背後の観音山を借景にした名園とされます。湯殿跡庭園は一乗谷に残る室町文化の影響を色濃く残す庭園文化の一端を成す貴重な遺構である事から昭和5年(1930)に国指定名勝、さらに平成3年(1991)に国指定特別名勝に指定されています。
湯殿跡庭園:上空画像
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